ごはん

タグ: 状態変化 食品化 縮小娘 食べられる | 2013年1月17日 11:31 | Pixivで見る
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目から穀物が零れ落ちるのは日本神話のオオゲツヒメのオマージュです

「そうそう。この前言ってた個人用の精米機 届いてん」

そう言いながら彼女は誘うような目つきで私に体当たりをしてくる。木枯らしで冷たくなった手が敏感な脇腹へ忍び入ってきた。

「ひゃうっ。」
「どんなのか興味あるでしょ。寄ってってよ」

ひあ! 私は情けない声を上げながら、、精米機を私に見せて彼女は一体どうするつもりなんだろうと考えた。

 *

彼女は部屋の中から段ボールを持ってくると、破り開けて、中のビニールを引っ張ってちぎる。解かれた梱包材はそのままゴミとして床へ散らばっていく。私は横へ正座して、そういったゴミを順次袋の中へ集めていっていた。

「完成~」

そう言うと彼女は、とりあえず組立の済んだ精米機をトロフィーのように掲げて見せた。なんのことはない、1~3合用のコンセントで動く小さな精米機。とりあえず取説を拾い上げて使い方を読もうとしていた私に、彼女は待ちきれないといった声調で言い放った。

「脱いで」

まったく、ほとんど情緒の欠片もあったもんじゃない。

 *

私は電子天びんの上に乗って目盛りを睨みながら身体を縮小させていた。1合の米は180mlで、人間の比重が1g/1ml程度なので、180g。精米を試すだけだからまぁ適当でいいだろうけど。
だいたいこんなものかな、と180gあたりで微調整をしていたところで、私は身体を鷲掴みにされた。

「うひゃー、やっぱカワイー」

私が身体を縮小すると、彼女はタガが外れるのか異様に興奮の様を呈してちょっと恐い。フンフンと鼻息を鳴らせながら私のことを見つめてくる。
片手で握られて、親指で脚を開かれたりする。こっちは当然真っ裸なのだから恥ずかしい。でも、今までの経験上こんなときは抵抗しないのが吉だった。抵抗して暴れても、相手を喜ばすだけなのだ。
私は顔を真赤にしながら、顔を背ける。

「ねぇ、こんなに肉付きのいい脚、ホントに美味しいそう。太ももとかしっかり筋肉ついてて。照り焼きにしたらジューシーで絶対美味しいって! う~ん、今度のクリスマスはケーキもいいけど七面鳥かなぁ……」

もう片方の手で脚を縮めたり伸ばされたりしながら食材としての感想を言われる。美味しそうな身体と言われて素直に喜んでいいのかどうか分からず、私は照れ笑いをした。

「…精米を試すんじゃなかったっけ。」
「ん、はいはい」

本来の目的を思い出した彼女は、私を計量カップの中へおいた。

 *

右目あたりがめばちこみたいな感じになって、幾回か瞬きをしているとポロリと大きなつぶが私の身体からこぼれ落ちた。玄米だ。すると、あれよあれよという間に私の身体は崩れ、一塊の玄米の山になった。
さすがに60kg玄米があっても何時まで経っても精米し終わらないし、そもそも扱いが難しいし、まずは1合程度を精米してみようという話だった。精米を試した後は元へ戻してくれるらしい。「玄米になって精米されるのはアカスリみたいなもんだし、いいでしょ」との事だった。

大体1合ぐらいの量になっていることを確認した彼女は、ためらいなく私を精米機の中に流し入れた。コンセントをつないで、精米スタートボタンを押される。ピッ スタートである。
ザゾ、ザゾゾゾゾゾゾゾゾ……

 *

ザゾゾゾゾゾゾゾゾゾ……
「……ぁ…っ!」

最初は身体全身を擦られているような様なこしょばい感覚だったが、時間が経つにつれて快感の度合いが増してきた。だが、機械は一定の調子を崩さずそのまま精米を続ける。すこし休憩を置きたかったが、叶わない願い事だった。

ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ……
「はぁっ……んっ! ……ぁぁ!!」

撹拌棒が身体の中心で回転を続ける。“ぬか”をこそぎ落とされた私の身体は、敏感さを増す一方だった。

 *

ピーピーピー カチッ
「ハァハァ……。」

精米が終わり蓋のロックが外れる音がする。本でも読んでいたのだろう彼女はすぐに寄ってくると、フタを開けてカゴごと私を取り出した。

「うわ。あったかい」
精米の終わった白米に指が突っ込まれる。ずっと撹拌をされていた私は身体全体が火照っていた。

「見てみ、こんなにぬかが」
カゴが傾けられ、機械の底へ積もった“ぬか”を示される。あんなに身体を小さく縮めたのに、こんなにぬかって出るんだ……
「ちゃんと精米できたみたいだね」

感心している私をよそに、彼女は食卓の上へ私をぶちまける。精米が済んだら元に戻してもらう約束だ。

 *

「……なんか元に戻らない」
「ええっ!」

彼女は食卓の上の白米を腕を組みつつ睨みつけるが、私は一向に元の体に戻らなかった。なんでなんだ。

「う~ん、削り過ぎちゃったかなぁ…… 10分搗きの白米モードだったんだけど」
「…も、元に戻して……」

彼女はパラパラと取説をめくるが、どの程度なら米にした女の子を元に戻せるなどはもちろん記載されていない。ここは勘の世界だ。
一方、私は食卓の上で青ざめていた。元の体に戻れず、このまま白米だったらどうしよう……

「よしっ」
パン!と取説を閉じた彼女は、台所から炊飯器の釜を持ってくると私の身体をその中へ集め出した。
「えっ もしかしてそのまま炊いちゃったりしないよね?」
「だって元に戻れないから仕方ないじゃん。それに、そろそろ夕食の時間だし。床にこぼれ落とされて掃除機で吸われるよりは、私に食べられたほうが幸せでしょ」

ちょっと待って! 約束が違う!

 *

釜へ集められた私は、冷水で研がれていた。冬の蛇口から出る水道水は本当に冷たい。ガクガクブルブル。

「すごい。。。かみのけみたいにサラサラだ」
などと、彼女はのんきに私の身体の感想を口にする。私の身体なのだから当然だ。

ザバー
少し残っていたぬかもすべて洗い流されて、1合分の水を入れられる。炊飯の準備はできたようだった。
「ウブブブ。さ、寒い……。」
「私の方がよっぽど寒いし」
研いでいるのは手でだけなのでそんなことはないだろう。

「じゃあね~」
「たっ、食べないで! それだけはやめてぇ!!」
バンッ! フタの閉じられる音が釜の中に鳴り響く。
私は炊飯器にセットされた。

 *

最初は寒くて冷たくて震えていたけども、炊飯が始まると水が温かくなってくる。でも、そんなの一瞬。すぐに耐えられないほど熱くなるのだった。私の浸かる水がこぽこぽと沸く。
「…ぁ、…熱い! あつい…!」

炊飯器は容赦なく炊飯を続ける。最後には、私の身体ははふっくらと水を吸っていた。

ピーピーピー カチッ
「…ぁ……、ハァ……、ハァ……。」

 *

「いただきまーす」
「…お願い、…食べないで……」

食卓の上には私が炊かれている間に作られたであろうオカズが並んでいる。一方、私はお茶碗に盛られて、今まさに食べられようとしていた。

「食べないなんてもったいないことはできないよ。こんなにいい匂いでキラキラ輝いててふっくらとしたご飯が目の前にあるのに。残したらバチが当たっちゃう」
「そんな…、やめて……お願い……」
たしかに、私も私の身体から発される匂いに食欲を刺激されていたところだった。彼女の作った美味しそうなオカズとともに食べたら、どんなに美味しいことだろうか。でも、美味しく食べられてしまうご飯は私なんだ……

「あーん」
「だっ、だめぇぇぇぇ! ひゃうっ」

口の中に押し込まれた私は一気に噛み砕かれる。少しだけ緑茶の香りの残る口内で咀嚼される。
私は身体中に電撃が走ったような衝撃を受けた。
モグモグモグモグ…… ゴックン。

「美味しー。モチモチしてて香り高くて……。噛んでると自然の甘みが」
「…私のことおいしいだなんて……。」

自分の身体を咀嚼されて美味しいと言われる。いよいよ食事が始まったんだ、そして私は食べ物なんだ。身体中を恐ろしい危機感が支配する。
そんな私を意に関せず、彼女はニコニコと食事を続けた。

 *

「最後の一口になっちゃったね」

食卓の上でオカズの乗っていた皿は全部空になり、茶碗の上に一口分だけ私が残されていた。

「精米したてのお米がこんなに美味しいだなんて。素材がいいからかな。出来れば一緒に食べたかったなぁ」
「…もうゆるして。最後まで食べないで……。」
「こんなに美味しいのに残すのもったいないよ」

そういうと、彼女は私の最後の一欠片をお箸でつまむ。大きな口が近付いて来る。ご飯やオカズを噛み砕いて飲み込んできた口は、真っ暗な赤黒い洞窟だった。

「あーん」
「や、やだぁぁぁ…… うえぇっぇ。」
パクッ! モグモグモグモグ……

「ふぁああ! ぁああああ!!」
大きな歯で噛み砕かれて唾液と混ぜられてまたすり潰される。粒状の身体はだんだんと粥状に分解されていく。唾液で分解されて甘みになっていく。私は、最期の快楽の渦の中に沈んでいった。

ゴックン。

「ごちそうさまでした」

彼女は行儀よく食事の終わりの挨拶をする。茶碗には、一粒の米粒も残されていなかった。

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